10月の警備所報告 第2弾です。
10月21日(金)08時26分
警備所の観測窓から、掃海訓練を行う艦艇番号605「ちちじま」発見

「ちちじま」は、この7月の改編でも横須賀地方隊第41掃海隊の残った艇である。
警備所から、様子を窺っていたが、我慢できず定点観測ポイントへ
同日10時19分
警備所とは、湾の反対側になるポイントへ

手前を行くのは、地元U港の巻き網漁船である。
魚市場に、魚を降ろしてきた帰りであろう。
腰を据えて「ちちじま」を観測に入る。

艦橋から「さて、いっちょやるか!」と言う感じで、隊員2名がヘルメットを片手に後甲板へ向かいます。
逆光なので、鮮明に撮れないのが残念!
これが、正しいラッタルの降り方

ラッタル側を向いて降りてはいけません。
飽くまで、外を向いて・・・
でも、素人は怖くてラッタル側を向き、しっかり手摺握って降ります。
当然、私も体験航海や艦艇見学時にはそうしています。
2名の行き先には、このクラスの主兵装であるS-10機雷掃討具(黄色に塗装された装置)が

多くの隊員が、S-10の周囲で掃討開始の準備をしています。
更に、その後ろの甲板ではS-10のケーブルの撚りを戻す隊員が

黄色の部分は、ケーブル(オレンジ色)に黄色の浮力体を巻いてあります。
S-10本体から、ある程度の間はこの浮力体付きのケーブルとなります。
S-10が降ろされるとなると、水中処分班が援護に回ります。

「ちちじま」の艇尾(スターン)の延長上の海面に黒いぽつぽつが見えると思います。
これが、水中処分班が乗った処分艇(ゴムボート)である。
処分艇に近寄って見ると

強面の処分班の隊員たちが
10月下旬になろうとしているのに、半袖の隊員もいます。
猛者ですね、処分班。
「ちちじま」の方では、S-10がクレーンでつり揚げられ始めました。

ケーブルの撚りも解かれ、海面に落とす準備が整っています。
海面上に吊りだされたS-10

S-10が、不用意に回転したり、振られて
舷側にぶつからないよう、何人もの隊員がロープで引っ張っていますね。
いよいよ海面へ

横一文字の黒い部分とその下の丸い黒いところは高性能ソナー。
今までの処分具が、母船のソナーに頼っていたのが
S-10のソナーで捜索・探知が可能なんだそうです。
黒丸の下の目と口みたいなところは
目がライト、口がカメラになっているものと思われます。
こうやって見ると、愛らしい象亀のようにも見えます。
それとも、モスラの幼虫(黄色いけど)
はい、ざぶんと海面へ

丁度、大きなうねりが入って来て、波の下へと放たれるS-10
浮力体付きのケーブルを持つ隊員も、何時でもそれを海面に落とせる態勢
放たれたS-10は、泳ぎ回りクジラの如く潮を吹く

って、冗談です。
後部に回ったS-10が、たまたま波間に顔だし小さな波飛沫を揚げたのでした。
この後、S-10は波の下に姿を消し、出てきません。
同日10時44分
観測ポイント変え
対岸の汚水処理場上の公園に移動

こちらからは順光なので、鮮明に「ちちじま」が観測できる。
艇尾から延びるS-10のオレンジ色のケーブル(細いから分かりますか)

テンションが効いているらしく、ピント張っている。
「ちちじま」から、かなり離れた所でS-10が動きまわっているようだ。
暫くすると処分艇が「ちちじま」に近づいてきていました。

結構暇そうで、お話をしていますね。
ところで、処分艇の左上、サメの背ビレの様な物が白く波を引いています。
いったい、何でしょうか、この大きさだとクジラ?ジンベエザメ?
前後の写真を見ると、岸近く岩礁がちょこっと海面にかを出して
うねりによって白い波が立っているようです。
遊んでいる内に、S-10は「ちちじま」に近づき、浮力体付きのケーブルが揚がって来ました。

隊員達も集まってケーブルを捌いているようです。
すると前方では、腕に赤い腕章を巻いた初任海士に古参の海曹?が何やら話し掛けています。

古参の海曹?は、フックの様な物を初任海士に渡し
「いいか、これを持ってな、艇尾に行って引っ張り揚げられるケーブルが絡まないようにするんだぞ」
「え!自分がですか?自分やった事ありません」
「いいか、誰にでも初めと言う事が有るんだ」
「わわ、分かりました」
「それでは、それ持って俺に付いて来い」
以上、もちろん私の創作ですが
でも、今の自衛隊では、口の悪いヨット乗りみたいに
バカだの、アホだの、言わないで優しく教えてくれると思います。
な、長い、初任海士君大丈夫でしょうか

「班長(?)、待って下さい」って言っているかどうかは不明
艇尾に立ったものの、ちょっと持て余している感じですね。

もう、オレンジ色のケーブルがキリキリ巻き揚げられているようだし・・・
さ、S-10の訓練が終わり、幹部からの講評?です。

もう、S-10は左舷の所定の場所に収納されています。
10月27日(木)08時14分
先週、「ちちじま」が訓練していた海域に近づく、掃海隊群第1掃海隊(横須賀)の「はつしま」

掃海隊群は第1輸送隊(「おおすみ」「しもきた」「くにさき」)を隷下に置き
水陸両用作戦の主要部隊となりました。
併せて掃海隊群第1掃海隊(横須賀)は、「うらが」「はちじょう」「はつしま」の3隻
掃海母艦+深々度掃海+中深度掃海
と言うことになり、上陸作戦には上陸地点の機雷掃海がいかに大切か分かる編成となっている。
その「はちじょう」

「はちじょう」は、やはり深度の深い沖合で訓練
「はつしま」は、岸近くで訓練

掃海部隊が、水陸両用作戦の要になるのは良いのだが
心配なのは、おおむね10年後
護衛艦が47隻から54隻になり
掃海艦艇が25隻から18隻になる事
恐らく、減らされる掃海艦艇の乗り組員が
3,000トン型将来護衛艦の乗組員になると思われる。
同護衛艦にも機雷掃討能力はユニット形式で付与されるらしいが
職人芸色の強い掃海艦艇乗組員
特に、処分班の隊員を減らすのは、拙いのではないだろうか。
護衛艦を増やすのであれば、海上自衛官を増やすべきだと私は思う。
ネックは、防衛予算でしょうね。
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- 2016/12/21(水) 15:52:35|
- 海上自衛隊
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| コメント:4
こんばんは、ichanさん。
> 護衛艦を増やす以上、定年を迎える隊員さん
> もいるでしょうし、隊員数も増やさないとまずい
> でしょうね。
そうなんですよね、基本的には定員増が望ましいと思うのですが
ミサイル防御等の正面装備ばかりに、お金が行っている状態なんだと思います。
護衛艦増やしたいけど、金も人も増えない
で、苦肉の策で、掃海艦艇減らして護衛艦へ
ブログ中に有るように、機雷掃討能力は付与するらしいですけど
どの程度の物なのか、また、それに関わる隊員の質は?
今後、どうなるのか、気になる所です。
- 2016/12/22(木) 19:26:47 |
- URL |
- メバル所長 #-
- [ 編集 ]
いつもかっこいい写真をありがとうございます。大海原を行く艦艇を見ては心慰められています。
さて「ラッタル」。横須賀の「記念館三笠」でラッタルを降りる時は外を向いて降りたのですがやはり…怖いw。
でも何事もきちんとそれらしくせんと気が済まない私は恐怖に耐えつつ…頑張りました。でもあれを「もっと早く降りろ」と言われたら…ご勘弁ですw。
- 2016/12/24(土) 22:43:36 |
- URL |
- 見張り員 #-
- [ 編集 ]
こんちちは、見張り員さん。
> いつもかっこいい写真をありがとうございます。大海原を行く艦艇を見ては心慰められています。
こちらこそ、いつも訪問ありがとうございます。
海を行く、軍艦(日本場合は自衛艦艇)は良いですよね。
こちらでは、沖を行くと言うより
入出港がメインです。
吊り錨で向かって来ると
投錨だ~!と思わず1人で微笑んでしまいます。
> さて「ラッタル」。横須賀の「記念館三笠」でラッタルを降りる時は外を向いて降りたのですがやはり…怖いw。
> でも何事もきちんとそれらしくせんと気が済まない私は恐怖に耐えつつ…頑張りました。でもあれを「もっと早く降りろ」と言われたら…ご勘弁ですw。
ラッタル外向き降り、怖いですよね。
一度やろう思いましたが、歳を考え止めました。
海上自衛官の方は、これを駆け下りるのですから
大したものだと、感心してしまいすね。
- 2016/12/25(日) 13:44:58 |
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- メバル所長 #-
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